29) 6月11日(水)は暦の上での雑節の「入梅」。

ともいき暦をご覧ください)
日本列島弧は南北3.300Km、南北に長い国土では、梅雨入り、梅雨明けは、年によって、地域によって異なります。そこで、あくまでも目安として梅雨入りを決めたのが「入梅」(梅の実が熟するころに雨季に入るため)です。
現在は、太陽が黄経80度に来る日に決められています。
(今年は九州、中国、四国、近畿、東海は梅雨入り、関東も6月5日には・・・・と予報されています。)
梅雨の先触れといえる「走り梅雨」があって本格的な梅雨に入り、約30日間、梅雨期となります。
(黴(カビ)の出やすいころですので黴雨(ばいう)とも呼びます)。
梅雨の前半は穏やかな霖雨(りんう)ですが、中休みを挟んで後半は荒梅雨(あらつゆ)となり、梅雨出水(つゆでみず)に見舞われることも多くあり、土砂災害、浸水など注意が必要です。
「雷が鳴ると梅雨が明ける」という諺もあり、昔の人びとは雷の到来を首を長くして待っていたことでしょう。

◎梅雨にまつわる季語を拾ってみました。

●青梅雨(あおつゆ)
梅雨の頃はまだ新緑の頃ですから、そこに降る雨を「青梅雨」と表現しています。

●梅雨曇(つゆぐもり)
どんよりとした梅雨の雲に覆われた様子。厚い雲に覆われた暗い日を「五月闇(さつきやみ)」といいますが、これも「梅雨曇」です。
こんな日の連続ですと、雲が払われて青空が見えた日は、また「梅雨晴れ(つゆばれ)」と言って喜びもひとしおです。

●梅雨寒(つゆさむ)
太平洋から張り出してくる暑い気団と、北方の寒冷気団のせめぎあいが梅雨前線ですが、時には、弱いはずの寒冷気団が勢力を盛り返してきますと、「梅雨寒」になります。そんなことになると途端に火が恋しくなったり、暖かいものを食べたくなったりします。
体調を崩すのもこんな時期ですし、「梅雨寒」が長く続くと冷害の心配も出てきます。

●送り梅雨(おくりづゆ)
昔の人は「走り梅雨」を、ユーモアたっぷりに「迎え梅雨(むかえづゆ)」と呼びましたが、梅雨の終わりも、やはり「送り梅雨」と表現しています。
梅雨の末期は概して雷を伴った大雨に見舞われますが、その向こうに日差しの強い夏の風景が、既に見えています。

●その他
「梅雨茸(つゆだけ)」「梅雨の月」「梅雨の星」などなど。

昔の人たちは、人と人、人と自然の豊かなコミュニケーションの中で生活し、自然への思いやり、いたわり、優しさにあふれていました。そして、万物の季節に応じた変化を的確に感じとる、勝れた五感、観察力を持っていました。
人間生活圏をつくり、その結果、人工物に囲まれ、自然を追いやって生活している現代の都市生活者にとって、人と人、人と自然の豊かなコミュニケーションの中で生活するのはむりなことなのでしょうか・・・・?
祖先の、先達の知恵と体験、そして今を生きるわれわれの知恵で、人と人、人と自然の豊かなコミュニケーションのある都市を創りあげたいものですね!!子孫のためにも。
人と人、人と自然の「ともいき」から生まれた言葉の国、日本。繊細な国語を大切に。

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