⑮エメ・アンベール(スイス)

 エメ・アンベール(スイス)は学者で外交官。
「時計業組合」のチェアマンとして、またスイス連邦立法議会の遣日使節団長に任命され、日本と国交を開くべくマルセーユを出港して18か月をかけて1864年(元治1)に日本に着きました。
約10か月滞在して徳川幕府との間で修好通商条約締結のために奔走しますが、その間、余暇を利用しては日本を観察しました。
それは『幕末日本図会』という本にまとめられ、日本文化に対する優れた鋭い見方をして、とにかく日本は不思議な国である。
滞在が長くなればなるほど、日本人の魅力に捕まってしまうと言っています。
ユニークなのは、いろはにほへとに表れている日本人の無常観について書いているところです。
非常に哲学的で、優れたもので、日本のポテンシャルの一つである。
現実の日常生活においても、将来の設計においても、無常観というものが働いている。
この無常観が伝統を守りつつ、しかも現実の瞬間に生き続ける日本人の価値観の根源となり、日本人に素朴な精気をもたらし苦楽とか貧困に耐え、あるいは運命とか死に対しても従順な日本人を作り上げていると言っています。

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